イベントレポート

第4回世界遺産コンサート part-1
東儀秀樹 世界遺産音楽の旅路
~西欧とアジアを結ぶトルコ イスタンブール~

歴史的“寛容”を学んだ旅
アヤ・イリニ(聖なる平和)教会

トルコは大人の国でありました。
地理的環境、民族、宗教…etc. アジアとヨーロッパとのすみわけの定義は難しくてわかりませんが、少なくとも地球儀をながめてユーラシア大陸を、ヨーロッパでは西から東へ、 アジアでは東から西へと両側からせめてくると、どちらも“濃”から“淡”へと色調の段階的な変化がみられ、最後に“淡”と“淡”とが重なりあう箇所には、灰汁が薄れしっとりと澄んだ風合いの色が出現するのです。これが大人の色であると、そしてそこがトルコなのです。
本当の大人は破壊を好みません。イスラム教のオスマン帝国はキリスト教を国教とするビザンツ帝国の遺産をそのまま受け入れました。そしてこの国の歴史的“寛容”さは我々に、イスタンブールで最古の教会のひとつアヤ・イリニ(聖なる平和)教会を用意してくれたのです。

Doga Koleji(ドア・コレジ/イスタンブール市内学校)の生徒たちによる歓迎の歌と踊りで幕をあげたコンサート。
前日の昼間、東儀秀樹氏はこの学校を訪問します。音楽の授業に飛び入りの東儀さんと子供たちとの心あたたまる交流。
生徒たちの子供らしいあふれるほどの笑顔は、とりまく大人の愛に恵まれているからでしょうか・・・。

続いて日本から大久保眞さん指揮による世界遺産コンサート合唱団の♪ふるさとの季節♪のメドレーです。
トルコも日本も一年を通じて四つの季節が巡りきますが、このような自然環境にあるがゆえの両国民の感性の結びつきを感じます。

トルコのメインゲストはアラベスクというジャンルの音楽を得意とする女性歌手Sevval Sam (シェワル・サム)さん。
このアラベスクとは一般的に、トルコの古典音楽や民謡を基盤として、そこに西洋音楽のクラシックやジャズ、ロック、カントリーさらにはインドやギリシャ音楽などさまざまな音楽のエッセンスが加わった音楽形態をさしています。
これまで訪ねてきたどの場所でも感じることですが、古典や伝統音楽というものが日本のように限られた愛好家のものだけではなく、日常的に大手をふって街中を歩いているということです。このトルコでもそれらの音楽が社会の中では主役であって、堂々と存在しているといった印象でした。

締めくくりは東儀さんのコーナーです。雅楽は1300年前に日本へもたらされたといわれていますが、それはちょうどこの教会が今の姿となった時代に重なります。イスタンブールが古代からシルクロードの中継地であり終着点であったことに思いをはせると、誕生からなにもかわらぬ雅楽の楽器が奏でる音色は、きっとこの街での一千年の再会であったにちがいありません。
演奏は♪Adagio♪にはじまり♪時ヲ旅する♪セリメ♪森の呼動♪そしてアンコールは「世界遺産コンサート」のテーマ曲♪名もなき者たち♪です。
この曲に詩がついてはじめての出演者全員による演奏と合唱、果たしてスタンディング・オベーションの中でフィナーレを迎えることができました。

さて、「世界遺産コンサート」は世界遺産の未来を担う子供たちを「未来への遺産」と呼称し、各開催地において子供たちへの生活・教育を支援する団体へ売り上げの一部をドネーションしております。
この度のトルコ公演では、10万人の女子への教育支援を目的とする団体「CYDD」へ贈らせていただきました。 http://www.cydd.org.tr/duyuru.asp?id=938

兎にも角にも誠に“寛容”を学ぶ旅でありました。

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文/伊澤信義(総合演出)
写真/戸村廣
開催日程:
2010年(平成22年)10月23日(土)
実施会場:
トルコ共和国イスタンブール市「アヤ・イリニ教会」内特設会場(1985 年世界遺産登録/イスタンブール歴史地域として)
出演:
日本側/東儀秀樹(雅楽師、音楽家)、東儀九十九、東儀雅美
大久保眞指揮世界遺産コンサート合唱団
トルコ側/シェワル・サム(歌手)、トルコ伝統音楽オーケストラ、ドア・コレジ児童達 他
総合司会/高野あゆみ(トルコ在住女優)
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